12.1 勉強する意味は何か?
更新日 2021年6月26日
「なぜ勉強する必要があるの?」と思ったことありませんか?
私は何度もあります。
持論ですが、長い期間に渡ってやる気を保つには、「何のためにがんばるのか?」、つまり『目的』を明確にするのが大事と思います。
同時に何かを教える人は、その『目的』をちゃんと説明できなければいけないと思っています。
勉強のやる気がなくなる主な理由は「なぜ勉強する必要があるのか分からない」「勉強のやり方が分からない」の二つだと思います。
将来何の役に立つか分からなければやる気を保つのは難しいですし、どれだけ努力してもそれが結果として現れなければ嫌になって当然です。
逆に「明確な目的意識があって」「正しい勉強方法で勉強した分だけできるようになる」という状態なら、きっと勉強のやる気は出るだろうし、やった分だけ成長できるなら勉強も楽しいモノになるはずです。
本来なら『数学』や『英語』と並び、『勉強の目的』と『勉強のやり方』を教科として立て、それらを伝えるべきだと思います。
ですが残念ながら、学校で『勉強の目的』と『勉強のやり方』を伝えるカリキュラムはありません。
ほとんどの受験生が、何のために勉強するのか、どうやったら努力が成果につながるかを、教えられないまま努力を強いられているのが現状と思います。
では勉強に何の意味があるのでしょうか?
例えば、社会人になってサイン/コサインを使う人は、理工系、CGデザイナー、建築設計士、製品設計、電気工事士、金融工学の仕事など、皆さんの中ではそこまで多くないかもしれません。
ですから人によっては、サイン/コサインの知識自体を、社会人になってから使わない人も多いと思います。
ただサイン/コサインを勉強する過程で身につける『勉強のやり方』には大きな意味があります。
私が思う「勉強を通して身につく力」を以下にまとめました。
多くの人は一番の下の『知識』だけを見て、「勉強は意味がない」と言います。
確かに知識に意味はありません。
Googleで数秒で答えが分かりますから。
でも受験勉強を通して本当の財産になるのは上の2つです。
- 『ゴールを選択する力』
- 『改善点を見極め実行する力』
先生から言われた宿題をやるだけでは『知識』しか身につきません。
一方で自分でゴールを設定し、ゴールに向けた改善点を見極め、工夫しながら勉強していくことで、受験の成功だけでなく、人生において重要な力を身につけられます。
ビジネス用語でいうと『PDCA』とも呼ばれます。
勉強を通して身につけたこの『学習のやり方』はあなたが成し遂げたいと思ったことの何にでも使えます。
スポーツも勉強もできるという人はこの『学習のやり方』を抑えています。
アンケートでも第一志望に合格した人は、不合格だった人より「スポーツ、音楽、研究、仕事もやり方は勉強と一緒」と答えています。
つまり、勉強の財産は『知識』ではなくむしろ『学習のやり方』ということだと思います。
逆に言えば『学習のやり方』が身につくなら、勉強にこだわる必要はないと思います。
スポーツ/音楽/ゲームでも、自分でゴールを設定して、何が足りないかを分析して、それを克服するための練習法を考えて、それを実施して評価する。
その経験を積めば勉強でなくても、何でもいいと思います(あくまで自己責任ですが)
大企業が勉強ができる人だけでなく、スポーツができる人を採用するのも、その人がスポーツを通して『学習のやり方』を身につけていると判断しているからだと思います。
最近は、AIが勉強するべき問題を指定してくれるサービスも出てきています。
これはテストの点数を上げるには非常に効果的だと思います。
ですが、勉強で最も大事な 『ゴールから考えて改善点を見極める力』を身につけるチャンスを失うことになります。
AIは、受験という画一的な学習ではあなたがやるべきことを示してくれますが、あなたの今後の人生で直面する課題に対してのやるべきことは決して描いてくれません。
適度なAIツールの活用は止めませんが、「今何を勉強するべきなのか、を考えること自体が学習だ」という意識を持つことをおススメします。
私の個人的な願いとしては、受験生の皆さんが受験にかける時間を最小限にして、興味があることに熱中してほしい、と心から思います。
今後重要なのは、誰もが同じことを学ぶ受験勉強よりも、自分がエネルギーを注げることに熱中し、つきぬけることだと思っています。
それが、スポーツ、部活、ゲーム、音楽、絵、マンガ、プログラミング、YouTubeだろうが、なんでも構わないと思っています。
ですが一方で最低限の学習が必要なのも事実として無視できません。
知識もそうですが、受験を通して『勉強のやり方』、『できないものを克服する気概』を身につける人が多いのもまた事実です。
ですから『勉強のやり方』を学び、できるだけ勉強の時間を短くすることで、時間を余らせて興味があることに熱中してほしいです。
勉強と同時にスポーツ/音楽などをやることで、時間の使い方もうまくなります。
米国の高校/大学では、二つ以上のスポーツをやるのが普通です。
スポーツ推薦で進学しても、勉強をちゃんとしないと試合に出られません(少なくとも建前上は)。
なので一競技の練習時間は短いはずですが、米国は野球/バスケでもスターを輩出していますし、オリンピックの金メダルも最多です。
どうしてかというと、逆に限られた時間しか練習できないため、時間コントロールがうまくなったり、優先順位付けが上手になるそうです。
もしあなたが今スポーツしかしていない、または勉強しかしていないならば、時間管理をしながら複数のことをやる、ということを学生の内から経験するべきです。
それが人生において大きな財産になるはずです。
本コラムのまとめ
- 知識には意味はないが『勉強のやり方』は大きな財産。
- 『勉強のやり方』は、スポーツや趣味や仕事でも活きてくる。
- 勉強の効率化で時間を余らせ、興味があることに時間を使うべき。